2002

午前5時58分。彼らは私の目の前で生きていた。同窓会のように、私たちはかつての高校時代の過ちを語り合った。皆が狭い6畳の一室で、くだらない会話に命を燃やし、5つの鼓動に拍車がかかる。
誰も不運な形で死ぬことはない。誰も悲しい思いをする必要は無い。例え、涙を流す現実を経験しても、笑って前に進んで生きてほしいと思う。正直、苦しくて死んでも良いと思う。それでも彼ら彼女らが死ぬ行為に価値を見い出すことが出来たならそれでも良いと思う。ただ、生きていた事実に誇りを持ち、祝福を掲げることしか出来ないが、私はそれでも生きる。勝手ではあるが、地獄を見ても、それでも生き延びてしまった人間たちの人生を私は称えたい。私は多くの人の消えた魂を胸に閉じ込め、生きる。生き延びてしまっても死んでしまっても私は幸せだ。人々と触れ合うことが出来てこの上ない幸福に包まれる。彼らの寝息は、昼間の柔らかい雲よりも優しい音色であった。私はそんな彼らの呼吸を守りたい。
今、ロシアがウクライナと戦争をしている。私は当事者ではないが、戦争で命を落とす人間が少しでも少なくありますようにと願った。願うことしか出来ないが、それでも願い続ける。