告白

性欲というものは穢らわしい。しかし私にもその穢いものを持っていたのだ。認めたくなかった。おじさんと同じ欲があるなんて許せない。ましてや少女だった私に突きつけられたむき出しの欲はずっと脳裏にこびりついて一生あの忌まわしい記憶が離れない。たまに夢に出てくる。すごく怖くて涙が出る。こんな事を知っている私は恥ずかしい人間であり、自分が惨めな気持ちになる。


私は醜い欲がなければもう生きていけなくなった。もう遅かった。自分を責めなければ生きていけない。私が撮られるのが悪いのだ。私がスカートなんか履くから悪いのだ。私が女の子だったから悪いのだ。


ある女の子は自分を売った。対価として、紙切れ2枚と一人きりの不幸を手に入れた。彼女は、自分の性欲が少女の時に出会ったおじさんと同じなのだと思うともっと汚したくなった。その時好きだった人に魅せる性欲がどうしても汚れて見えた。汚れてるはずなのに純粋な性欲だと言い聞かせてする性行為に後ろめたさを感じて申し訳なくなった。彼女は、自分のもつ性欲は綺麗ではないからここにいちゃいけないと思った。こんなことしちゃいけないと思った。

お風呂の壁に、心の中で死ねと書いた。彼は音楽関係の人で、彼の企画する小さな箱ライブに、大森靖子ちゃんを何度も呼んだり一緒に宅飲みしたりする事もあったらしい。彼女は偶然があまりにも皮肉で悔しかった。
ホテルの天井には大きな鏡があって自分が映っていた。汚い自分が映っていた。本当の自分が映っていた。怖くなって涙が出て怖くなって息が出来なくなった。「大丈夫?」と声をかけてくれた。

そう、私は大丈夫。

私は大丈夫なのだ。何があっても大丈夫な人間なのだ。息が出来なくなっても自分でなんとかした。大丈夫という呪文を心の中で何度も唱え、何度も自分を慰めた。
私は憎まれるべき人間なのだ。


綺麗な性欲に私が触れる余地など皆無で私が全て悪いのだ。性欲は綺麗なものなんだと必死で信じた。然し理解できなかった。とても鋭くおぞましいものだと教えられ生きてきたから理解できなかった。

私は自分の性欲を受け入れなければいけない。今は少しずつだけど認めようと頑張っている。

どうして私の性欲が汚されなければいけなかったのか。どうして私でなければいけなかったのか。もうそんな思いをする子が出てきてほしくない。女の子に限らず男の子も傷ついてはならない。私みたいになってほしくない。すごく悲しい。

すごくすごくつらくて涙が出る。
私が穢いだけなのでどうか軽蔑してください。

彼女もみんなも自分を大切にしてほしいです。