前略。

思い出は心の中に。

好きな人とご飯を一緒に食べる時間。お風呂上がりにアイスを食べる時間。初詣に行っておみくじを引く瞬間。家族みたいなことが出来る時間がたまらなく楽しかった。幸せだった。今まで手に入らなかった私の隙間が埋まる感覚は、きっと他の人にとってはあたりまえなんだろう。羨ましかった。手を引いて遊園地で楽しむ家族やフードコートで食事を分け合う家族。色んな家族が私を馬鹿にしているように見えて怖くなる。疎外感がたまらなくて苦しかった。だけど、どこにでもある幸せの隙間に私も入れた気がして嬉しかった。本当にありがとう。

この先のことなんてどうなるか誰にも分からないけれど、大丈夫になるんだきっと。高熱で天井をずっと見つめていたら自分が親に愛されなかった瞬間を思い出して怖くなった。強い孤独に勝てなかった。欲を言えば本当は、喉から手が出るほど普通の幸せがほしかったけど、自分の業は自分で後始末しなければいけないんだと思う。色んな人に出会って、色んな人の幸せを見届ける。

時には母のいない子のように黙って海を見つめていたい。