せかい

昨日、空に星が輝いていた。今日の朝、空に月が浮かんでいた。お昼時、久しぶりに万物流転を見た。コインランドリーには光が差していて、年季の入った木目を、ローファーでなぞりながら歩くと、コツコツと音がした。その音には楽しい匂いがした。ごみ箱には白いシューズが暖かそうに眠っていてとても可愛かった。6畳ほどの空間で全ての意識を感じた。植物が息をしている。彼が笑っている。彼女が泣いている。違う彼女は今にも死んでしまいそうだ。他国の彼は午前中からデモに参加し、車を燃やしている。また違う彼は宗教戦争により銃殺されているところだ。そしてわたしは微笑んでいる。みんなが、生まれたり生きたり死んだりしている。陽の光が暖かい。大学でひとりの人間と偶然再開した。彼と話す時はいつも指先の細胞が震えた。人間と人間の世界。わたしがわたしでいられる世界はとても心地よい。彼は男の人ではない。かといって女の人でもないので彼は恐らく人間なのだろう。傘に対する公平性の話をしたり一緒に音楽を聴いたりした。彼の一眼レフには埃が一切なく、面白い映画を私に見せてくれた。私は、最近レンズが曇っていたので昔のフィルムを、代わりに言葉を借りて見せた。最後に地球はどうして丸いのか聞いてみた。彼は地球は丸くないと言った。最後に分からないと言った。私はやっぱりあなたのことが嫌いだと伝えて別れた。その後受けた講義は、社会学者であるデュルケールの宗教生活の原初形態についての内容だった。考えることは悩ましいけれど、不安と共存していたいと思う。