子宮

私たちが産声をあげるほんの少し前までは、みんなお母さんの子宮で眠っていました。私もかつては、お母さんの快楽の奥深くで眠っていた時期がありました。それはとても暖かくて心地の良い世界であったでしょう。私の臍の緒は小さな化石のように、とてつもなくちっぽけでした。一枚のエコー写真から覗く、子宮で蹲る私の小さな姿はひとつのいのちでありました。男の子でも女の子でもなくただ、それはひとりの人間でした。ああ、なんと恐ろしいのでしょうか。私の身体の中にもこんな生成機が備わっていると思うと一人間に所属しているという自覚から、個の喪失を感じました。それは悍ましくもあり、また素晴らしいことでもあります。快楽の上に生命が宿る。これは私にとっては矛盾するに値します。皮肉にも、奇跡は醜い行為に包まれて存在するのです。
汚れてしまったそこには生の乱用がきらきらと星のように散らばっていました。