透明の塊

その時、どろっとした透明の塊が落ちました。お風呂場に落ちたそれを私は指で掬ってみると、人間の性を感じました。それは恐ろしくとてつもなく悍ましい存在でした。私に排卵という機能は要らないはずなのにどうして股座から経血が流れるのでしょうか。
もっと子宮を痛めつけてください。もっと壊してください。

過ちを犯して身体を傷つけても世界はひとつも変わりませんでした。奥に異物が入る瞬間は何ひとつ感じませんでした。そこには恐怖も後悔も悲哀もなく、ただ一秒が経過していくのみでした。
ただ、変わったことといえば、小さな幸せを壊してしまったことです。

本当に情けないです。