踊り場

最後は子宮だった。悲しくて涙が出た。こんなに悲しいのに私は踊っていた。こんなに胸が張り裂けそうなほど苦しいのに、ゆっくりと本能が私を刺し殺していった。最後まで踊り場から逃れることは出来なかった。残酷な瞬間はとても美しいことを私だけが知っている。私は人間だった。何ひとつ言い訳のできない肉を削ぎ落とし、厭悪を買っては観客を呼ぶ。この繰り返しで私は生きている。
私の踊り場は汚い。いつも床が濡れていて今にも滑ってしまいそうだ。上手に踊れないから毎回泣きながら踊っている。それでもその滑稽な姿をみんなが笑ってくれるから、もっとみんなの気持ちを満たしたいと、今日も足を絡ませながら踊っている。


夢を見ていた。今回はいつもより長い悪夢だった。夢を見た後は何故かいつも匂いだけが残っていて、今日は黒くて甘い匂いがした。これは二番目に好きな匂いだ。
窓を開けると空はとってもいい天気で蝉が泣いていた。
七夕はもう終わってしまったけれど、この蝉が早く蛹に帰りますようにと太陽にこっそりお願いごとをした。もうひとつのお願いごとは、強欲にならないように我慢した。

明日は綺麗なお花を見つける夢が見たいな